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女性の綺麗な姿

仕事上がり、会社の駐車場。

ヘルメットをかぶってバイクにまたがり、エンジンを始動させる前の一瞬、スッと息を吸った瞬間、どこからかバイオリンの音色。

「!?」

会社の建物の1階、灯りのついた部屋の曇りガラスが少し開いており、網戸ごしに若い女がバイオリンを弾いているのが見えた。

研究員か産業医か、白衣の男がこちらに背を向ける形で女と向かい合って腰掛けており、女はどうやらこの男にバイオリンの演奏を披露しているらしかった。

ときどき演奏を中断する女の、はにかんだような笑みが、あまりに屈託がないので、二人は恋仲のようではないらしく思える。

けれども、「誰かのために楽器を奏でる女」というのがこんなに美しいとは思わず、思わず見とれてしまったし、恐らく白衣の男もそう思っているのだろうことは想像にかたくない。

誰かの、現在進行形の青春の一コマを目の当たりにしてしまい、何かがこみあげてきた。

そういや今日は、朝から「大学時代こらもう十年も経ったのか」などと考えてしまってた。

秋だね、なんか感傷的だ。